冬になると旬な食べ物【牡蠣】。
しかし、「生食用」「加熱用」の2つが分けられて販売されています。
そもそもこの2つの違いは何なのか?あまり知らない人も多いのではないでしょうか??
今回はこの「生食用」「加熱用」の牡蠣の違いについて簡単に解説です。
違いを知って、今後の料理に生かしてみてはいかがでしょうか?
~導入~
【牡蠣】を買いに行ったのですが、「生食用」と「加熱用」の2つが売られていたのですが、どう違うんでしょうか?
なんや。そんなモノん、「生で食うか」「加熱して食うか」の目的別やろ。
いや、それはさすがにわかります。何を基準に分けられているのかと思いまして。
なんやと思う?
「鮮度」とかでしょうか??
ブブー。違います。
実は「鮮度」ではなく 明確な基準があるんです 。
なんですと!それは気になります。是非教えて下さい。
買ってきた「牡蠣」少しあげるので。
少しなのかよ!
まぁええ、知らないで食中毒になってもあれなので教えてあげよう。
【牡蠣】の「生食用」「加熱用」2つの違いについて解説
「生食用」「加熱用」には大きく分けて、以下のような2つの違いがあるんや。
●養殖されている「海域」の違い
●「細菌」の数
海域?みんなお同じ所で育てられているんじゃないんですか?
それがちゃうねん。
これはもう1つの基準、「細菌」の数にも関わってくるんや。
牡蠣の養殖されている「海域」の違い

そもそも「海域」とは、ある範囲の海のことを指します。
まぁ凄く簡単にいうと、「沖」か「浅瀬」ってことやね。
【牡蠣】を育てる場合、この海域が大きくかかわってきます。
◆「生食用」の場合の養殖海域
「生食用」の牡蠣の場合、※「指定海域」というモノで養殖されます。
※「指定海域」とは、保健所が定期的に水質検査を行い厳しい基準をクリアした場所をさし、そこで養殖した牡蠣は「生食用」として売ることができます。
※ただし県によっては「指定海域」を設けていない場合があります。
ふむ。でもなぜこの「海域」が関係するのですか?
それはな、ナマモノ君。牡蠣の生態が関係しているんやで。
【牡蠣】の生態

牡蠣のエサは海水に含まれるプランクトンなので、 1日に300リットルの海水を吸って、吐いていると言われています。
つまり養殖海域が汚いと雑菌も多く、その汚い海水を吸いこんでいる【牡蠣】は生で食べるのは衛生上良くないというわけです。
ちなみに「生食用」のモノに関しては出荷前に、紫外線などをあて管理された、無菌の海水などに1~3日入れて牡蠣の中を浄化します。
それからむき身などにされ、一緒に袋詰めされる海水も殺菌されたモノを使ってるため、生で食べられるわけです。
だから、「綺麗な海水のところを調べてそこでまず養殖しよう」ということや。
ふむふむ。だから海域を調べ指定する、必要があるんですね。
ちなみにどういった場所なんでしょうか?
まぁ簡単に言うと、河川・沿岸から離れている所やね。
どしても人が生活している付近だと、生活排水などが流れ込んでしまうからな。
ふむふむ。
では、「加熱用」は指定海域じゃない所で育てられたってことなんですか?
そ。
◆「加熱用」の場合 の養殖海域

「加熱用」の牡蠣の場合、海域の指定はありません。
指定が無い。
つまり、河川・沿岸付近でも養殖が可能ということや。
よって、雑菌が「指定海域」で育てたモノより多いから、「加熱して食えよ」ということや。
ちゃんと、加熱すれば雑菌はいなくなりますからね。
でもみんな、「指定海域」で育てれば、良くないですか?
甘いな、ナマモノ君。実は、「加熱用」の牡蠣の方が美味しいんや。
「加熱用」の牡蠣の方が美味しい?!
「加熱用」の牡蠣は、河川・沿岸側で育てるということは、雑菌なども多くなる代わりに、牡蠣のエサである、プランクトンも豊富ということになります。
プランクトンが多いいということは、豊富な栄養で育つため、大きく、旨味が強い個体が多いです。
まぁ一概には言えないけど、こういうメリットもあるってことや。
ふむ。だからあえて、分けて育てているんですね。
たとえ、「加熱用は大きく、旨味が多いから生で食ったら絶対うまいやん!!」と思っても、絶対にちゃんと加熱しろよってことや。
そもそもが、加熱前提で養殖されているからな。
表記されてるのには、ちゃんと意味がある訳ですね。
「細菌」の数

「生食用」「加熱用」のもう一つの違いは、「細菌数」なんや。
牡蠣の産地で有名な「広島」では以下のような規格基準が設けられているんや
「生食用」牡蠣(広島)
【成分】
細菌数 1g当たり、50000以下 (50000/g以下)
E.coli(大腸菌) 100g当たり、230以下 (230/100g以下)
腸炎ビブリオ 1g当たり、100以下 (100/g以下)
【保存基準】
冷蔵の場合 保存温度は10℃以下
冷凍の場合 保存温度-15℃以下
【採取海域】
大腸菌群最確数(最低数)100mlに70以下 (70/100ml)
参照:広島県かきの衛生対策
しっかりと基準が設けられてますね
ただし、この検査の中に「ノロウイルス」は含まれていない。
なんと!ではどうすれば。
安心したまえ、ナマモノよ。
生食用かきの出荷シーズンには,県の指導に基づき,生産者団体や出荷者団体が毎週1回から2回,広島湾を7つの海域に区分して,かきのノロウイルス自主検査を行っています。検査結果については→良質美味広島かき ’ 検査結果で陽性となった場合は,加熱調理用かきに切り替えて出荷し,次回以降の自主検査で陰性と確認されるまで,生食用かきとして出荷されません。
引用:広島かきの衛生対策 より
なので生で食っても安心や。
良かったです。
まあ参考にあげたのは、個人的によく食べる「広島」なので、他の県の牡蠣を買う場合は、その県を調べてみるとええで。
まとめ
【牡蠣】の「生食用」「加熱用」の違いは、
●「海域」「細菌数」で分けられている。
●「生食用」は「指定水域」で養殖、無菌の海水で浄化されている。
●「生食用」は「細菌数」の基準値を設けている。
●「加熱用」はプランクトンが豊富な所で養殖された分雑菌も増える。
●「加熱用」は加熱前提の養殖がほとんどなので、生で食べない。
とまぁこんな感じやね。
以後、食べる際は気にしてみてくれ。
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